どのこも…よいこたちなんですよ…ふふふ…
イメージを膨らませ、ヨダレを垂らし、見てやってくださいなっ。
※税込です※
(目の前の「タコさんお留守のっ★ 〜もちチーズ〜」という、どこか脱力感のある品名を、まじまじと見つめて)
「『タコさんお留守』……か。
ふ。茶目っ気がすぎるが、今の俺にはその不在が、何よりの福音だ。主役の座を明け渡したタコに代わり、餅とチーズが……
すいませーん、これ、一つ。持ち帰りで」
(路地裏の公園。ベンチに腰を下ろし、期待に胸を膨らませてテイクアウトのパックを開ける)
「ほう……いいじゃないか。たこ焼きのツラをして、中身は餅。そこにこの、柔らかなアイボリーのチーズソース。焼けた香ばしさが、鼻腔をくすぐる。いい匂いだ……」
(備え付けの爪楊枝を二本手に取る。安定させて、ずっしり重い一粒を持ち上げる)
「……よし。いざ、開戦だ」
(ハフハフと息を吹きかけ、思い切り一口)
「熱い……! 容赦ない熱さだ。だが、うまい!
外は香ばしく、中はモチッ……。そこにこのチーズソースが、ドロリと重厚に追いかけてくる。
タコの代わりに餅。なるほど、この弾力、この粘り……チーズの濃厚なコクを受け止めるには、タコ以上の包容力が必要だったというわけか。
このえんみ。この深み。口の中が『旨味のスクランブル交差点』だ」
(二粒目。爪楊枝でソースをたっぷり絡め、一気にいく)
「……いい。すごくいい。
多めにかけたソースが、正解だったな。
ソースの塩気が、餅の奥に眠っていたお米の甘みを、グイグイと引きずり出してくる。
……いいぞ、いいぞ。この、背徳的ですらある『しょっぱ旨さ』。
俺は今、チーズと餅という、禁断のタッグに翻弄されている」
(三粒目、四粒目と加速する。爪楊枝が止まらない)
「……きた、きた。この波状攻撃。
チーズのコクが押し寄せたと思えば、すぐさま餅の粘りが追いかけてくる。
塩気と甘みの波、波、波……。
俺の胃袋は今、抗う術もなく、この旨味の荒波に飲み込まれている。
このソースの濃さが、餅という巨大な防波堤を軽々と越えてくる。
まさに、怒涛のチーズ攻勢だ」
(最後の一粒を名残惜しそうに仕留め、お茶をズズッ……と飲み干し、空になったパックをそっと閉じ、名残惜しそうにひと目見て)
「……ふぅ。
この小さな四角い箱を舞台に、餅とチーズが繰り広げた、終わりのない攻防。
完敗だ。俺の空腹は、完膚なきまでに叩きのめされた。
……いい。すごくいい。
餅の『柔』がチーズの『剛』をいなすような、この絶妙なバランス。
余韻に残る強気な塩気さえ、今の俺には愛おしい……腹も心も、パンパンだ」
(スッと立ち上がり、コートの襟を立てて歩き出す)
「さぁ……午後も、ひと仕事、頑張るか」
(ふっと人混みに紛れ、その背中が見えなくなる――。)
……なーんて、あの…孤高な腹ペコ美食家に食べてもらえたら最高だなぁ、なんて妄想から生まれた、私なりの最高の一皿です。ぜひ、あなたの胃袋で確かめてください。 店主より。